|
――――
この年になってだなあ・・・この頃になってやっと、本気で桶をやろうと思い始めているんですよ。
今は(桶を作るのを)本当に楽しんでるんだなァ。昔みたいに儲からなくなったけど。
(1940年、川越の喜多町に桶屋の長男として生まれる)勉強も嫌いだし、桶屋の長男だったから、なんとなく中学を出て桶屋になったんですよ。昔はまあ、桶屋で中の下くらいの生活はできたからね。
親父が家で仕事をしていたから、ちっちゃい時から見ていたし、中学一、二年の頃かな。一日中、ず〜っと親父の仕事を見ていた時期があったんだなあ。嫌いじゃあなかったんですよ、たぶん。
それに、親父が大酒飲みで、ちょくちょく仕事にならない日もあったもんだから、いつのまにかやらないって訳にはいかないって感じでね。
昔の職人はよく飲んだ。朝、そこいらに出かけると、よく見かけてね。道で寝ている人、今はいないよねぇ。見かけないでしょ?道路で寝ちゃっている人。昔は結構いたもんですよ。
1960年代の高度経済成長の時は注文が次から次にで、いくつも風呂桶、仕事場に並べてやっていた時期もあったんだけどね。今はっていうと、四角の檜のものは、まあ注文があるけれど、昔ながらの楕円の風呂桶は減るばっかりだねぇ。
そんなこんなで、今63(才)だっけかな?・・・この歳まで桶屋をやってるんですよ。でもね、まだまだ思うように作れないもんでね。気に入らないと出来あがったものでも、燃しちまう。えっ、もったいない?でもさ、なんかね、やっぱり出来が悪いと嫌でね。
―――― まだまだ、上がある。まだまだ、勉強していかなきゃなって今さらながら思う訳ですよ。 ――――
平成16年秋
|